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山村の滋味とおもてなし。京都・美山の「農泊」旅(前編)

日本各地の農山漁村に滞在する「農泊」。古都・京都にも、自然あふれる、農泊にぴったりな地域があります。日本ならではの伝統的な生活を体験でき、地元の人々とふれあいもあり、さらに地元の食材を使ったおいしい料理に出会えることうけあいです。

 

訪れたのは、南丹市の中の美山町エリア。美山町は京都府のほぼ中央に位置し、京都市内から車で約1時間の場所に位置します。土地の96%が森林におおわれており、日本海にそそぐ清流の由良川が流れ、かやぶき屋根の民家が多く残る、まさに日本の農山村の原風景が息づく町です。

 

今回、農泊を体験したのは、「農村カメラガールズ」の3人です。8000人以上が登録する、日本最大のカメラ好き女子のコミュニティ「カメラガールズ」内で発足したサークルで、日本各地の農村の魅力を発信すべく、さまざまな活動を行っています。

 

1泊2日、観光も楽しみながら、思い出に残る体験型の農泊の旅へと向かいます。

 

京都府・美山町/ジビエランチと自給自足型の山村体験

京都駅から自動車で約1時間、美山に到着した農村カメラガールズの3人。大園良美さん、朴夏林(パク・ハリン)さん、保坂美南さん。大園さんは国内、海外問わず、旅を楽しむ行動派。朴さんは韓国出身、日本在住6年目で、全国各地に旅行。日本語も流暢です。保坂さんは月に3度は地方を旅行し、全国の市町村を制覇するのが夢と話すほどアクティブ。全員、旅好きが共通しています。

ちょうどランチタイムを迎え、向かった先は「田歌舎」。田歌舎は代表の藤原誉さんが2003年に設立し、循環可能で自給自足できるライフスタイルを目指し、10人ほどのスタッフが勤め、農業・狩猟・採集をし、自然と密着した暮らしを実践しています。一般の観光客向けには、1万㎡以上の田畑で自分たちで育てた野菜や獲ってきた食材を使った料理が味わえるスローフードレストランと、セルフビルドした宿泊施設を運営し、アウトドアガイドなどの自然体験を提供しています。

田歌舎食堂で料理を振る舞ってくれたのは、代表の奥さまである藤原有さん。「田歌舎をメインに、ほぼすべて美山の食材で作っています」という料理は、盛り付けも味もセンス抜群。田歌舎のハンターが獲ってくる鹿肉を使った3種のメニューがスタンダードで、トルコ料理のシシカバブをアレンジし、鹿のミンチ肉に自家製のピクルスや野菜のスパイスを混ぜ込んだ「鹿カバブプレート」(税込1650円)、鹿肉を使い、食べやすく、ジューシーな味わいに仕上げた「リングソーセージプレート」(税込1650円)にはサラダとパン付き。自家製のピザ生地にまろやかな鹿肉のミートソースをふんだんに使った「鹿のミートソースピザ」(税込1375円)と、見た目にも美しく、絶妙な味付けの一皿が揃います。

「鹿肉を食べるのは初めて。こんなにおしゃれでおいしい料理が味わえるとは思わなかった!」(保坂さん)、「自分たちで作ったという建物も素敵」(大園さん)と、農村カメラガールズも大満足。

 

田歌舎食堂

住所/京都府南丹市美山町田歌上五波1-1

電話/0771-77-0539

営業/ランチ11:00〜14:00 ※予約制

ホームページ/https://tautasya.jp/

 

おなかもふくれた後は、田歌舎ならではの体験をすることに。昔ながらの農村の暮らしの体験や、狩猟や鹿や鶏などの解体体験、川や山で遊ぶアウトドアスポーツまで30種類を超える多彩なプログラムが用意されています。今回はこんにゃく作りと、羽釜での炊飯にチャレンジ。

こんにゃく作りには田歌舎の畑でとれたこんにゃくいもを使います。初めて見るこんにゃくいもに3人とも興味津々。重さを測り、使用する水と凝固剤の量を計算した後は、一転、力仕事。「後はこんにゃくいもをどんどんすりおろしてください。注意してほしいのが、すりおろし器の目の粗い方を使うと、いもの繊維が残り、食べたときに口の中で刺さっておいしくなくなります。時間はかかりますが絶対に目の細かい方で!」と、スタッフの土屋浅黄さんがてきぱきと説明してくれます。

すりつぶしたいもは分量の水とともに鍋に入れ、かき混ぜながら熱します。時間は約20分。なかなか大変です。水分がなくなり、ふつふつと泡が立ってきたら、凝固剤を入れて素早くかき混ぜ、型に流し込んで冷却。さらに沸騰したお湯の中に切り入れ、50分ほど煮込みます。

同時に薪を起こして、羽釜での炊飯も準備。3人は飼われているヤギとふれあい、田歌舎の写真も撮影しながら、できあがりを待ちます。

できたてのこんにゃくと、炊きたてのご飯をほおばった3人は、「おいしいーー!」と歓声。「簡単なようでいて、時間をかけなくちゃいけないことを体験できて、良い経験になりました」と朴さん。

「理屈ではわかっているけど、目で見る機会があまりないことってたくさんありますよね」とスタッフの土屋さん。代表の藤原さんも見に来てくれ、「こういう食や農業、狩猟の体験を一からしたいという声が多く、家族連れも学生さんも、最近は増えているんですよ」と話していたのが印象的でした。

 

田歌舎

住所/京都府南丹市美山町田歌上五波1-1

電話/0771-77-0509

料金/山村体験(半日)・4人まで1万1000円、5名以上は1人2500円~(税込)

ホームページ/https://tautasya.jp/

 

京都府・美山町/幻想的な光景と絶品の猪料理を堪能

田歌舎での体験を終えると、そろそろ夕方。この日、美山では冬の一大イベントが開催中。毎年1月下旬から2月上旬に、39棟のかやぶき屋根が残る国の重要伝統的建造物群保存地区「美山 かやぶきの里」で開催されるライトアップイベント「美山かやぶきの里 雪灯廊」が行われており、農村カメラガールズの3人もカメラを携えて早速向かいます。

ただ、今年は記録的な暖冬で、この日も積雪はなし。本来は雪で作られた雪灯籠が一面に並べられ、かやぶき屋根の民家群を、雪明りとともにほのかに照らす姿を眺められたはずでしたが、雪がない状況のため、しっとりとした冬の夜のかやぶき屋根の農村という情景が、目の前に広がっていました。道のわきには京都嵐山などで使われる伝統の花灯廊が彩り、幻想的な雰囲気。

また、里の奥にある、知井八幡神社拝殿では、春乃流による日本舞踊の奉納が行われ、イベント期間内の初日と最終日には打ち上げ花火も実施。冬のかやぶきの里の夜空に、見事な華が咲き、カメラガールズの3人は熱心に写真撮影。町内のレストランなどが出店する、あったか屋台なども見て回りました。

「地元の方に東京や神奈川などいろんな地域からたくさんの方がこのイベントのボランティアに来ていると聞いて、すごく愛されている土地とイベントなんだと感じました」と大園さんは言います。

 

美山かやぶきの里 雪灯廊

住所/京都府南丹市美山町北

ホームページ/http://www.yukitouro.jp/

 

かやぶきの里から自動車で由良川をさかのぼること30分ほど。佐々里集落にある、「山里料理 民宿 ハリマ家」にチェックイン。ご主人の勝山賢一さんと奥さまの尚美さん、お父さんの武司さんが営む宿で、建物のすぐ後ろには由良川が流れ、自然に包まれた静かな時間に浸ることができます。

もうひとつの自慢が、四季折々の地元の食材と、おもてなしの心が尽くされた山里料理。約40年前に宿を始めた武司さんは2年前までは現役の猟師で、猪や鹿の肉を使った一皿が評判です。今は、昼に訪れた田歌舎などから猪や鹿を仕入れているそう。特に冬の時期は旬を迎える猪を使ったボタン鍋を求め、遠方から毎年訪れる人がいるほど、料理自慢の宿でもあります。

夕食にまず並べられたのは彩り豊かな前菜。鹿肉のしぐれ煮や、宿の前になるオニグルミを添えたごま豆腐、自家製のゆず酒など食欲をそそる一品ばかりです。「うちではまず、この『焼きボタン』から始めてもらうんです」と、ご主人の賢一さん。赤と白が鮮やかな猪のロース肉とバラ肉を、温められた石板で香ばしく焼き上げてくれます。お肉はもちろん、猪の脂を吸った地元の丹波シメジやネギも絶品!

「美山の休耕田で育てているホンモロコもどうぞ」と、女将の尚美さん。揚げたての天ぷらにしてくれたホンモロコは、小ぶりな淡水魚で、クセがなく、ほっくりとした身に上品な旨みが感じられます。

メインのボタン鍋は、かつお節、昆布、じゃこでとっただしに、美山の田舎味噌で味付け。

猪肉はもちろん宿の畑でとれた野菜がたっぷり。大根おろしや七味、山椒を薬味にいただきます。「美山近辺で獲れる猪はドングリをたくさん食べているため、本当においしいんです。脂身と赤身、あとその間に白い身が豊富にあり、ここがコラーゲン質。この白い部分が大きいと上質とされています。うちではだいたい5月末まではボタン鍋を提供していますよ」と勝山さん。

締めに、美山の平飼いの卵とお米を使った雑炊も堪能。身も心も満たされた3人は、就寝までの時間をゆったりとくつろぎました。

 

山里料理 民宿 ハリマ家

住所/京都府南丹市美山町佐々里

電話/0771-77-0720

料金/1泊2食付・中学生以上9900円~(税込)

ホームページ/http://www.harimaya.net/

 

京都府南丹市美山の「農泊」について詳しく知りたい方は

南丹市美山エコツーリズム推進協議会

南丹市美山エコツーリズム推進協議会